特集 : 卵巣がん研究

プロテインテックは卵巣がん研究に有用な抗体を数多く取り揃えています。

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背景

上皮性卵巣癌 (Epithelial ovarian cancer : EOC) は、婦人科系の癌で最も侵攻性が高く、先進国では女性の癌死亡原因の第4位を占めます (1)。卵巣は複雑な組織であり、卵巣癌は生殖細胞や顆粒膜-莢膜細胞に由来する場合もありますが、ほとんどの卵巣癌は上皮組織学的特徴を有します。

EOCは、あらゆる年齢の女性でみられますが、50歳以上の女性で最も一般的です。本疾患は、残念なことに初期のバイオマーカーの欠如と臨床病理学的な難しさから主に進行期に診断されます。EOCの治療は、主に化学療法と外科手術を組み合わせることで行われます。生存率は低く、5年未満です (2)。そのため、早期診断は、より高い治癒率を達成するために必要とされています。

組織病理学的形態

卵巣癌を示す病理組織学的な卵巣の形態。上皮性卵巣癌が最も一般的な原因です。

卵巣癌の症状

卵巣癌に関連する徴候/症状
体重減少
骨盤領域の不快感
腹部腫脹/膨満
頻尿
食事ですぐに満腹感を覚える
便秘
便秘

腫瘍抑制遺伝子および癌遺伝子

卵巣癌の発症においては、いくつかの推測上の腫瘍抑制遺伝子および十分に確立された癌遺伝子が同定されています。

概して、すべてのEOC患者は、p53遺伝子 (10442-1-AP) (3) (4) に変異を有します。機能的p53タンパク質の消失は細胞にとってきわめて重大です。また、TP53遺伝子 (21891-1-AP) は、細胞周期の進行、DNA修復、または細胞死の調節に重要な役割を果たす転写因子をコードします (5) (6)。

卵巣癌研究で既に知られる多数の標的以外の新しい標的の同定は、EOCメカニズムを理解し、早期に発見するために不可欠とされます。一例として、最近のデータでは、EOC患者においてWT1 (12609-1-AP) が高頻度で発現していることが報告されています (7)。

WT1は、通常、泌尿生殖器系および中皮組織の形成に必要です。また、最近では熱ショックタンパク質90 (Hsp90) が卵巣癌の新規標的タンパク質であることも実証されています。Hsp90 (13171-1-AP) は、異なるタンパク質に対してシャペロン活性を示し、それらのタンパク質は発癌経路のメンバーです。Hsp90の阻害は、卵巣癌の抗増殖効果を有することが示されています (8) (9) (10)。しかし、正確な分子メカニズムは不明のままです。

卵巣癌の不均一性のために、卵巣癌に存在する様々な異常を特徴づけ、同定することが非常に重要です。.

関連製品

抗体名 カタログ番号
HSP90 13171-1-AP
K-Ras 12063-1-AP
p53 10442-1-AP
p53 21891-1-AP
WT1 12609-1-AP
p53抗体 (品番:21891-1-AP、1:200希釈) を使用して、パラフィン包埋したヒト卵巣の免疫組織化学染色を行った (40×)

 

製品フォーカス

HER2/ErbB2 抗体
カタログ番号 HER2は、ErbB2およびNeuとしても知られ、185kDa膜貫通糖タンパク質で、表皮成長因子(EGF)受容体ファミリーメンバーに属する受容体型チロシンキナーゼです。それ自身はリガンド結合ドメインを持たないため、増殖因子に結合することはできません。 HER2の増幅や過剰発現は、乳癌および卵巣癌を含む多数の癌において報告されています。


60311-1-Ig
抗体タイプ
マウスモノクローナル
アプリケーション
ELISA, FC, IHC

バイオマーカー

卵巣癌の進行をみるために従来の手法を集中的に利用しているにも関わらず、未だに卵巣癌は致命的な婦人科系疾患のままです。現在の課題は、早期に卵巣癌を検出することです。有効と考えられたスクリーニング方法は、その特異性および感度の欠如のために失敗しています。卵巣癌の腫瘍形成をモニターして理解するためには、卵巣癌を正確に検出できるバイオマーカーの存在が強く望まれています。

最新の研究では、HE4 (14406-1-AP) が卵巣癌のバイオマーカーとなり得ることが報告されています (11)。HE4はいくつかの正常組織で発現しており、多くの腫瘍細胞株でも高発現しています。

腹膜表面への転移は、卵巣癌細胞の中皮細胞への接着を必要とします。上皮細胞接着分子 (EpCAM、CD326、21050-1-AP) は、上皮特異的な細胞間細胞接着分子として機能します (12) (13)。卵巣癌の潜在的な診断マーカーおよび予後マーカーとして注目されます。

オステオポンチン (osteopontin) は、正常ヒト卵巣表面上皮細胞と卵巣癌細胞株を用いたマイクロアレイ分析やその他複数の研究において、潜在的なバイオマーカーであることが示されています (14)。しかし、卵巣癌におけるオステオポチンの機能的メカニズムはほとんど解明されていません (15)。

関連製品

抗体名 カタログ番号 抗体名 カタログ番号
CD138/Syndecan-1 10593-1-AP HE4 14406-1-AP
CD146/MCAM 17564-1-AP HNF1B 12533-1-AP
CD147 11989-1-AP HOXA7, NCOA6 25241-1-AP
CD34 14486-1-AP MUC1/CA15-3 19976-1-AP
CX3CR1 13885-1-AP Osteopontin 22952-1-AP
EPCAM, CD326 21050-1-AP PD-1 18106-1-lg
PR 66300-1-lg SALL4 24500-1-AP
製品フォーカス

MUC16/CA125 抗体

カタログ番号 抗体タイプ アプリケーション
60261-1-lg マウスモノクローナル ELISA, IHC

MUC16 / CA125抗体 (品番 : 60261-1-Ig、1:50希釈) を使用して、パラフィン包埋したヒト卵巣腫瘍の免疫組織化学染色を行った (10×)

MUC16 / CA125は、大部分の卵巣癌において過剰発現されるグリコシル化膜貫通ムチンです。卵巣癌の細胞接着、運動性および浸潤に関与する重要な因子です。CA125のノックダウン実験は、EOCの浸潤の減少を示しました。  

 

製品フォーカス

PAX8 Antibody  (Tested with siRNA)

カタログ番号 抗体タイプ アプリケーション
10336-1-AP ウサギモノクローナル ELISA, FC, IHC, IP, WB

ペアードボックス8 (PAX8) 遺伝子は、甲状腺、腎臓およびミュラー管の器官形成中に発現される転写因子です。PAX8は、各々が様々な遺伝子の転写に直接関与する9つのタンパク質 (PAX1-PAX9) のファミリーに属し、典型的にはペアードボックスドメインおよびペアードタイプホメオドメインを含みます。PAX8は、高確率で卵巣漿液性、子宮内膜性および明細胞性癌腫で発現していますが、原発性卵巣粘液性腺癌ではまれにしか発現しません。そのため、PAX8は、卵巣癌を、乳腺起源のものと区別するための有用なマーカーです。また、より多くの形態の癌において重要であることが示されています。

PAX8は、ウィルムス腫瘍抑制因子 (WT1) 遺伝子の発現を調節すると考えられ、PAX8の変異はウィルムス腫瘍細胞、甲状腺癌および卵巣癌に関連することが知られています。さらなる研究はその診断上の価値を明らかにし続けます。原発性卵巣腫瘍と転移性女性生殖器腫瘍を区別することは、この分野における最も重要な課題の一つです。最近では、特にミューラー腫瘍を決定する際のPAX8因子の有用性について証拠が示されています。原発性卵巣腫瘍を由来とする卵巣転移性腫瘍 (特に胸部起源) の分化についても、この免疫組織化学染色に基づいて行うことができます。しかし、発癌におけるPAX8の分子機構は依然不明であり、さらなる研究が必要とされます。

PAX8抗体 (品番 : 10336-1-AP、1:50希釈) を使用して、パラフィン包埋したヒト卵巣腫瘍の免疫組織化学染色を行った (10×) PAX8抗体 (品番 : 10336-1-AP、1:50希釈) を使用して、パラフィン包埋したヒト卵巣腫瘍の免疫組織化学染色を行った (40×)

シグナリング

多くの異なるシグナル伝達経路が卵巣癌において活性化されており、現在の研究は、卵巣癌で高頻度で活性化されるシグナル伝達経路に関与する正確な機構および分子に焦点を当てています。PI3K (20584-1-AP) 経路は、大部分の卵巣癌症例において重要な役割を果たすことが示されています。活性化は、オートクライン / パラクライン様式のシグナル伝達によって、またはPTEN (22034-1-AP) またはAkt (10176-2-AP) のような異なる標的によって行われます。PI3Kの阻害は、例えば、異種移植モデルにおける卵巣癌の増殖を抑制することが示されています (16) (17)。もう一つの重要な因子は、IL-6 (21865-1-AP) です。一度IL-6受容体が活性化されると、JAK-STATカスケード (17670-1-AP、10253-2-AP) が活性化されます。 STATは、細胞増殖やアポトーシスのような異なる生物学的機能の調節に重要であることが報告されています (18)。

卵巣癌に関与するサイトカインは、NF-κBの活性化に示されるように、非常に多数です。NF-κBは大多数のEOC症例において活性化を示し (19) (20)、複数のサイトカインまたは成長因子がNF-κB活性化を引き起こすことがよく知られています。シグナル伝達経路の活性化後、多くの異なる下流機構のスイッチがオンにされます。卵巣癌細胞は、アポトーシスに対する耐性を示し、より進んだ段階では、癌細胞が転移することが知られています。例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ (MMP2 : 10373-2-AP、MMP7:10344-2-AP) はEOC中に見出され、それにより侵襲性が増加します (21)。また、より多くのエフェクタータンパク質、例えばカリクレイン (Kallikrein 8、14232-1-AP) はEOC中で見出されます (22)。

関連製品

抗体名 カタログ番号
Akt 10176-2-AP
Cathepsin B 12216-1-AP
IGFBP2 11065-3-AP
IL-6 21865-1-AP
Jak2 17670-1-AP
Kallikrein 8 14232-1-AP
MMP2 10373-2-AP
MMP7 10374-2-AP
NF-KB 14220-1-AP

参考文献

1 Jemal A, et al., Global cancer statistics. CA Cancer J Clin. 2011.

2 Jayson GC, et al., Ovarian cancer. Lancet. 2014; 384: 1376–1388.

3 Curtin JC, et al., p53 in human embryonal carcinoma: identification of a transferable, transcriptional repression domain in the N-terminal region of p53. Oncogene. 2005;24:1481–1490

4. D’Souza S, et al., The gene encoding p202, an interferon-inducible negative regulator of the p53 tumour suppressor, is a target of p53-mediated transcriptional repression. J Biol Chem. 2001;276:298–305.

5 Berchuck A, et al. Overexpression of p53 is not a feature of benign and early-stage borderline epithelial ovarian tumors. Gynecol. Oncol 1994;52:232–236.

6 Havrilesky L, et al. Prognostic significance of p53 mutation and p53 overexpression in advanced epithelial ovarian cancer: a Gynecologic Oncology Group study. J. Clin. Oncol 2003;21:3814–3825

7 Hylander B, et al., Expression of Wilms tumor gene (WT1) in epithelial ovarian cancer, Gynecol Oncol. 2006 Apr;101(1):12-7.

8 Banerji U, et al., Pharmacokineticpharmacodynamic relationships for the heat shock protein 90 molecular chaperone inhibitor 17-allylamino, 17-demethoxygeldanamycin in human ovarian cancer xenograft models. Clin Cancer Res. 2005;11:7023–7032.

9 Sain N, et al., Potentiation of paclitaxel activity by the HSP90 inhibitor 17-allylamino-17-demethoxygeldanamycin in human ovarian carcinoma cell lines with high levels of activated AKT. Mol Cancer Ther. 2006;5:1197–1208.

10 Maloney A, et al., Gene and protein expression profiling of human ovarian cancer cells treated with the heat shock protein 90 inhibitor 17-allylamino- 17-demethoxygeldanamycin. Cancer Res. 2007;67:3239–3253.

11 Molina R., et al., HE4 a novel tumour marker for ovarian cancer: comparison with CA 125 and ROMA algorithm in patients with gynaecological diseases. Tumour Biol. 2011 Dec;32(6):1087-95.

12 Montagnana M., et al., HE4 in ovarian cancer: from discovery to clinical application. Adv Clin Chem. 2011;55:1-20.

13 Lee M., et al. Prognostic impact of epithelial cell adhesion molecule in ovarian cancer patients, J Gynecol Oncol. 2014 Oct; 25(4): 352–354.

14 Jae-Hoon K., et al., Osteopontin as a Potential Diagnostic Biomarker for Ovarian Cancer. JAMA. 2002;287(13):1671-1679.

15 Song G., et al., Osteopontin promotes ovarian cancer progression and cell survival and increases HIF-1alpha expression through the PI3-K/Akt pathway. Cancer Sci. 2008 Oct;99(10):1901-7.

16 Raynaud FL, et al. Pharmacologic characterization of a potent inhibitor of class I phophatidylinositide 3-kinases. Cancer Res 2007; 67:5840–5850.

17 Hu L, Hofmann J, Lu Y, Mills GB, Jaffe RB. Inhibition of phophatidylinositol 3’ kinase increases efficacy of paclitaxel in in vitro and in vivo ovarian cancer models. Cancer Res 2002; 62:1087–1092

18 Burke WM, et al. Inhibition of constitutively active Stat3 suppresses growth of human ovarian and breast cancer cells. Oncogene 2001; 20:7925–7934.

19 YG, et al. Curcumin inhibits tumor growth and angiogenesis in ovarian carcinoma by targeting the nuclear factor-κB pathway. Clin. Cancer Res 2007;13:3423–3430.

20 Samanta AK, et al., Overexpression of MEKK3 confers resistance to apoptosis through activation of NF κB. J. Biol. Chem 2004;279:7576–7583.

21 Sood AK, et al. Stress hormone-mediated invasion of ovarian cancer cells. Clin. Cancer Res 2006;15:369–375.

22 Paliouras M, et al. Human tissue kallikreins: the cancer biomarker family. Cancer Lett 2007;28:61–79.

 

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Posted:
11 June, 2017

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