特集 : 小胞体ストレス

ERストレス研究に有用な抗体を紹介

ERストレス研究に有用な抗体を紹介

背景

小胞体 (ER : endoplasmic reticulum) は、脂質やステロイドの合成、タンパク質の折りたたみや成熟化、カルシウム貯蔵、および解毒を担う細胞小器官です。

小胞体は、細胞質を横断するようにして核膜までつながる、袋状の膜構造 (cisternae:小胞体槽/小胞体シスターネ) によって構成されます。小胞体は、その構造と機能によって、2つに分けられます。一つは粗面小胞体 (Rough endoplasmic reticulum) と呼ばれ、小胞体膜の細胞質側にリボソームが付着しています。粗面小胞体は、主にタンパク質合成に関与します。もう一方は、滑面小胞体 (Smooth endoplasmic reticulum) と呼ばれ、リボソームが付着していない小胞体です。滑面小胞体は、酵素およびその代謝産物の貯蔵を行います。

小胞体でタンパク質が正常に折りたたまれなかった場合、誤ったタンパク質 (変性タンパク質) が蓄積することによって引き起こされる現象は、小胞体ストレス (ER ストレス) と呼ばれ、小胞体ストレス応答 (UPR : unfolded protein response) と呼ばれるいくつかのシグナル伝達経路の活性化が引き起こされます。小胞体ストレスは、パーキンソン病やアルツハイマー病等の神経変性疾患、炎症や癌等に関与することが報告されています。

小胞体 (Endoplasmic Reticulum)

よく利用される小胞体マーカー抗体

抗体名 カタログ番号 抗体タイプ
ERp57/ERp60 15967-1-AP ウサギポリクローナル
ERp72 14712-1-AP ウサギポリクローナル
GRP94 14700-1-AP ウサギポリクローナル
PDI 11245-1-AP ウサギポリクローナル
TAP1 11114-1-AP ウサギポリクローナル

ERp57/ERp60 抗体 (カタログ番号:15967-1-AP、希釈倍率 1:50) を用いた、HepG2細胞 (10% Formaldehyde 固定)の免疫蛍光染色。二次抗体は goat anti-rabbit IgG(H+L) Alexa Fluor 488-conjugated 抗体を用いた。

ERp72 抗体 (カタログ番号 : 14712-1-AP、希釈倍率 1:100) を用いた、ヒト肺癌 (パラフィン包埋切片) の免疫組織化学染色 (40X)。

神経変性疾患における小胞体ストレス

小胞体ストレスは、主にカルシウムホメオスタシス (カルシウム濃度の制御) の障害、ミスフォールドタンパク質の蓄積によって引き起こされます。小胞体ストレス条件下に陥った小胞体は、生体防御反応として、タンパク質発現および細胞シグナル伝達機構の変化、ミスフォールドタンパク質分解の誘導を行います。小胞体ストレスは、アルツハイマー病やパーキンソン病等の様々な神経変性疾患に関与することが報告されています。しかしながら、小胞体ストレスの神経変性疾患における作用機構は十分に明らかになっていません。今後、神経変性疾患と小胞体ストレスの関係を明らかにすることで、新たな神経保護療法の開発が期待されています。

よく利用される神経変性マーカー抗体

抗体名 カタログ番号 抗体タイプ
AKT1 10176-2-AP ウサギポリクローナル
alpha-synuclein 10842-1-AP ウサギポリクローナル
Amyloid beta 60342-1-Ig マウスモノクローナル
Tau 10274-1-AP ウサギポリクローナル
TDP-43 10782-2-AP ウサギポリクローナル
PARK7, DJ-1 11681-1-AP ウサギポリクローナル

小胞体ストレスと神経変性疾患

小胞体ストレス (ER ストレス)

小胞体におけるホメオスタシスの崩壊は、誤った折りたたみタンパク質または折りたたまれなかったタンパク質の蓄積をもたらし、いわゆる小胞体ストレスと呼ばれる状態を引き起こします。小胞体ストレスは、複数のシグナル伝達経路の活性化を誘導し、この反応を小胞体ストレス応答 (UPR : unfolded protein response) と呼びます。小胞体ストレスは、主に細胞機能障害および細胞死を誘発します。小胞体ストレスならびに小胞体ストレス応答の機構を明らかにすることは、小胞体ストレスの関与が示唆される疾患における新規治療ターゲットの発見につながるかもしれません。

関連抗体

抗体名 カタログ番号 抗体タイプ
ASK1 14385-1-AP ウサギポリクローナル
ATF4 10835-1-AP ウサギポリクローナル
BCL-XL 12789-1-AP ウサギポリクローナル
Calnexin 10427-2-AP ウサギポリクローナル
Caspase3 19677-1-AP ウサギポリクローナル
Caspase12 55238-1-AP ウサギポリクローナル
Cytochrome C 66264-1-Ig ウサギポリクローナル
JNK 51151-1-AP ウサギポリクローナル
XBP1 25997-1-AP ウサギポリクローナル

小胞体ストレスパスウェイ

製品フォーカスはこちら : CHOP

カタログ番号

15204-1-AP

抗体タイプ

ウサギポリクローナル

アプリケーション

ELISA, FC, IHC, WB

27 文献

CHOP 抗体 (カタログ番号 :15204-1-AP、希釈倍率 1:50) を用いた、ヒト子宮頸癌癌 (パラフィン包埋切片) の免疫組織化学染色 (40X)。

CHOPは、GADD153またはDDIT3としても知られている、構造および調節領域の両方において高度に保存された遺伝子です。CHOPは、小胞体ストレスによって顕著に誘導されるタンパク質で、ミスフォールドタンパク質や折りたたまれていないタンパク質に応答して活性化されます。CHOPの活性化はアポトーシスを誘導します。したがって、CHOPは、小胞体ストレス依存性細胞死のプロアポトーシスマーカーと考えられています。CHOPは、転写因子 C/EBP や LAP とヘテロ二量体を形成し、ドミナントネガティブに働いてそれらを阻害します。また、CHOPは、母斑のメラノーマへの悪性転換に関与することも示唆されています。

製品フォーカスはこちら : GRP78

カタログ番号

11587-1-AP

抗体タイプ

ウサギポリクローナル

アプリケーション

ELISA, FC, IF, IHC, IP, WB

38 文献

GRP78 抗体 (カタログ番号:11587-1-AP、希釈倍率 1:25) を用いた、HepG2細胞の免疫蛍光染色。二次抗体はgoat anti-rabbit IgG rhodamine-labelled 抗体を用いた。

GRP78 (HSPA5) は、「免疫グロブリン重鎖結合タンパク質 (immunoglobulin heavy chain-binding protein: BiP)」とも呼ばれる、HSP70 (Heat Shock Protein 70 : 熱ショックタンパク質70) ファミリーのメンバーであり、小胞体 (ER) でのタンパク質アッセンブリと折りたたみに関与します。GRP78は、すべての真核生物細胞の小胞体で恒常的に発現する小胞体タンパク質です。また、GRP78は、癌細胞増殖の阻害およびアポトーシスに関連することが報告されています。

製品フォーカスはこちら : PERK

カタログ番号

24390-1-AP

抗体タイプ

ウサギポリクローナル

アプリケーション

ELISA, IF, IHC, WB

1 文献

PERK 抗体 (カタログ番号 :24390-1-AP、希釈倍率 1:50) を用いた、ヒト胎盤組織(パラフィン包埋切片) の免疫組織化学染色 (40X)。

PERKは、PEK、EIF2AK3 (Eukaryotic translation initiation factor 2-alpha kinase 3) としても知られている、GCN2 サブファミリーに属するタンパク質です。PERKは、小胞体でのプロインスリンの品質管理と輸送の調節に関与し、循環中のインスリン要求と関連する、インスリン分泌β細胞における代謝センサーとして作用します。また、PERK (EIF2AK3) はまた、ストレスキナーゼとしての確立された役割に加えて、非ストレス条件下での翻訳調節機能を有します。

製品フォーカスはこちら : ATF6

カタログ番号

24169-1-AP

抗体タイプ

ウサギポリクローナル

アプリケーション

ELISA, IF, IHC, IP, WB

6 文献

 

ATF6 抗体 (カタログ番号 :24169-1-AP、希釈倍率 1:50) を用いた、ヒト膵臓組織(パラフィン包埋切片) の免疫組織化学染色 (40X)。

ATF6 (Activating Transcription Factor 6 ) は、転写因子の一つであり、小胞体ストレス応答 (UPR : unfolded protein response) タンパク質の発現を活性化させます。ATF6は、DNA上における 小胞体ストレス応答エレメント (ERSE : ER stress response element) (5’-CCAAT-N(9)-CCAC[GA]-3’) 、および ERSE II (5’-ATTGG-N-CCACG-3’) の半領域、5’-CCAC[GA]-3’に結合します。ARF6は、小胞体ストレス応答に反応し、細胞質転写因子ドメインを含む約50kDaの断片が、タンパク質分解によって放出されます。ATF6の切断は、site-1 protease (S1P)、およびsite-2 protease (S2P) によって順次行われます。670 残基のアミノ酸からなるタンパク質であるATF6が完全にグリコシル化されている場合、そのグリコシル化修飾のために移動度が変化し、変性 SDSゲルにおいて約90kDaに検出されます。ATF6は、N結合型グリコシル化する3つのコンセンサス部位を有し、グリコシル化タンパク質として通常存在しています。突然変異または実験的処理によって、異なるグリコシル化形態のATF6を生じる場合があります。

その他、小胞体 (ER) マーカー抗体

小胞体タンパク質を特異的に検出する抗体は、小胞体ストレスを調節する分子機構の解明や、小胞体ストレスによって引き起こされるいくつかの疾患に関与するタンパク質研究のために有用です。

抗体名 カタログ番号 抗体タイプ
APP 60342-1-Ig マウスモノクローナル
BCHE 23854-1-AP ウサギポリクローナル
CALR 10292-1-AP ウサギポリクローナル
DLG4 20665-1-AP ウサギポリクローナル
HMOX1 10701-1-AP ウサギポリクローナル
HMOX2 14817-1-AP ウサギポリクローナル
HSPA1A 10995-1-AP ウサギポリクローナル
IFNG 15365-1-AP ウサギポリクローナル
P4HB 11245-1-AP ウサギポリクローナル
PD1A4 14712-1-AP ウサギポリクローナル
SERCA2 13985-1-AP ウサギポリクローナル
TAP1 11114-1-AP ウサギポリクローナル
UGGT1 14170-1-AP ウサギポリクローナル
VCP 10736-1-AP ウサギポリクローナル
製品フォーカスはこちら (PDF)
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Posted:
2 November, 2017

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