免疫蛍光染色法のワークフローをアップグレードしませんか? 「直接染色」が便利です!

直接免疫蛍光染色法 vs 間接免疫蛍光染色法

免疫蛍光染色法(IF) は、顕微鏡の助けを借りてタンパク質の発現、分布、および移行を可視化するための、抗体を用いた生物学の一般的なツールです。従来の免疫蛍光染色法では、細胞や組織中の単一抗原を検出するために、蛍光色素を二次抗体に結合させ、種特異的な一次抗体を検出する方法(間接免疫蛍光染色法、Indirect Immunofluorescence)が一般的に用いられます。多重化(Multiplexing、マルチプレックス化)とは、同じ組織サンプル中の複数の抗原を同時に検出することであり、細胞や組織の微小環境における様々な分子相互作用を同時に探索することにより有意義な情報を得ることができます。直接免疫蛍光染色法(Direct Immunofluorescence)は、蛍光色素が直接結合している一次抗体を用いて目的の抗原を検出する方法です。直接標識された抗体は、同一サンプル中の複数の抗原を染色するのを容易にするため、現在普及しつつあります。柔軟性があるため、多重化する場合には複数の利点を提供します。

プロテインテックの直接標識CoraLite® 抗体は、以下の利点から、免疫蛍光染色のワークフローを改善します。

プロテインテックの関連Webサイト:免疫蛍光染色用標識抗体—CoLaLite®蛍光標識抗体—

図1. 直接免疫蛍光染色法と間接免疫蛍光染色法

直接免疫蛍光染色法と間接免疫蛍光染色法の比較イラスト(細胞、抗原、一次抗体、二次抗体、蛍光色素)

直接免疫蛍光染色法は時間の節約につながります。

間接免疫蛍光染色法による多重染色は、複数の一次と二次抗体を用いるため、長いインキュベーション時間と複数の洗浄ステップを適宜伴います。未標識の一次抗体を連続的にインキュベートする方法は、間接多重免疫蛍光法で推奨されることが多く、全過程でさらに時間を要します。プロテインテックの『CoraLite® 抗体』のように、直接蛍光色素が標識された一次抗体を用いると、異なる一次抗体を同時インキュベーションすることができ、二次抗体のインキュベーションや必要な洗浄ステップを省いてプロトコールのステップ数を減らすことができるため、大幅な時間の節約につながります。

図2. CoraLite標識一次抗体を使用したマウス心臓およびマウス脳組織での多重免疫蛍光染色

CoraLite標識一次抗体を使用したマウス心臓およびマウス脳組織の多重免疫蛍光染色(a図:CL488-Troponin・CL594-N Cadherin・CL647-SMA、b図:CL488-MAP2・CL594-GFAP・CL647-AQP4)

交差反応性の問題を解決

免疫蛍光染色法に用いられる二次抗体は、抗原が保存された配列と類似の四次構造を共有している場合、近縁種で作製された一次抗体と交差反応性を示す場合があります。その結果、二次抗体は、サンプル内の内在性の免疫グロブリンや異なる種由来の一次抗体に結合し、高いバックグラウンドひいては偽陽性結果をもたらす可能性があります。交差吸着済みの二次抗体は、これらの欠点を克服するために広く提唱されていますが、感度を損なう場合があります。高い特異性で高感度な蛍光色素標識一次抗体を用いて多重化染色を実施し、二次抗体の必要性をなくすことで、これらの問題を取り除くことができます。

マウスオンマウスのトラブルを回避!

多重化染色実験を成功させるには、抗体の選択、蛍光団の励起/発光スペクトルの適合性、顕微鏡配置など、広範な計画が必要です。最も重要なステップは、正しい特異性と感度を有する『抗体の選択』です。多重染色実験で用いられる異なる一次抗体は、別々の宿主動物種または異なるアイソタイプに由来する必要があります。組織上で二次抗体を用いる場合、内在性の抗体(イムノグロブリン)は、高いバックグラウンドを回避するためにブロックされなければなりません。この問題は、組織サンプルと同じ宿主動物種で作製された一次抗体を用いる場合に顕在化します(例えば、マウス組織上で抗マウス二次抗体を用いる場合です)。直接標識一次抗体は、宿主動物種または抗体のアイソタイプを心配することなく、同一動物種、同一組織サンプル種で産生された複数の抗体の使用を可能にするため、実験計画を容易にします。また、試料と同じ宿主動物種で産生された抗体を、必要以上のブロッキングステップを実施することなく使用することができます。

CoraLite蛍光色素直接標識抗体を用いたマルチプレックス化

プロテインテックは、免疫蛍光染色法で検証されている1000以上のCoraLite標識一次抗体を提供します。CoraLite蛍光色素は、明るさ、高い光安定性と狭い発光スペクトルを有し、多重蛍光実験に大きな選択肢となりえます。

製品検索:CoraLite標識一次抗体

図3. 3つの異なるCoraLiteコンジュゲートを持つ同じ抗体。 a-c)coralite488、594および647に結合した抗BOULE抗体。d-f)coralite488、594および647に結合した抗DAZL抗体。g-i)coralite488、555および647に結合した抗TNP1抗体。実験はマウス精巣組織で行った。

CoraLite標識抗体を使用したマウス精巣組織の免疫蛍光染色の画像(合計9枚)

プロテインテックの多くの文献で引用された一次抗体は、シームレスな実験計画と実行を可能にするために、また、CoraLite標識抗体を作るために注意深く選択されます。これらの抗体は、多重免疫蛍光染色実験の設計でより柔軟性を発揮できるように、2~3色の色素(CoraLite488、CoraLite594およびCoraLite647)標識済み抗体として提供されます(図3)。高い水準でコントロールされたプロテインテックのCoraLite色素標識プロトコールは、ロット間で高い一貫性を保った標識抗体を提供します。直接標識抗体を使用してIF実験を改善することで、低いバックグラウンドと高い解像度の画像を取得することができます。また、多重染色の複雑さを克服し、貴重な時間を節約することで、ワークフローを効率化します。

プロテインテックの関連Webサイト(直接標識抗体):免疫蛍光染色用標識抗体—CoLaLite®蛍光標識抗体—