生細胞イメージング

生細胞イメージングは、細胞の構造変化や生理学的プロセスをリアルタイムで観察するための手法であり、タイムラプス顕微鏡を使用して細胞内プロセスを可視化します。 一般的に利用される免疫蛍光染色等の顕微鏡観察手法は、細胞の固定・透過処理を必要とするため、ある時点の細胞のスナップショットしか撮像できず、アーチファクトを観察している可能性がありました。 それに対して、生細胞イメージングは、細胞内の構造を可視化する際に、その動態変化の観察を可能にします。

生細胞イメージングのプローブには、蛍光タンパク質、ペプチド、有機物、無機物(量子ドット)等の蛍光物質が使用されます。 生細胞イメージングでは、細胞が生存および増殖可能な条件下において、細胞内部に蛍光プローブを浸透させることが非常に重要です。 タンパク質やペプチド分子の導入では、この問題が依然として課題となっています。 ChromoTekは、生細胞イメージングのために独自に開発したChromobody®(クロモボディ)テクノロジーによってこの問題を解決しました。Chromobody®は、アルパカ由来重鎖抗体の抗原結合ドメインであるVHH(Nanobody®)と蛍光タンパク質(GFPまたはRFP)の遺伝子融合体です。 Chromobody®は、適切なプロモーター下であれば植物や脊椎動物等、多種にわたる真核細胞で発現させることが可能です。生細胞の内部で発現したVHHは、ターゲットタンパク質に結合し、融合している蛍光タンパク質によってその局在が可視化されます。 Chromobody®をコードするプラスミドは、細胞内に一時的にトランスフェクションできます。また、Chromobody®の安定発現細胞株や、恒常的または誘導的にChromobody®を発現する遺伝子導入生物を作製することが可能です。

Nuclear Actin-Chromobody: NIH 3T3 cells (murine fibroblasts) transfected with the nuclear Actin-Chromobody (TagGFP2, green) and the Lamin-Chromobody (TagRFP, red) were starved in serum-free medium for 24 hours. Nuclear Actin-Chromobody probed endogenous F-actin assembly and distribution is shown 30 s after stimulation with serum. Courtesy of Matthias Plessner.

サイトカラシン(Cytochalasin)処理後、アクチンフィラメントの再編成の様子を撮影したタイムラプス動画。詳細は Actin-Chromobody® plasmid (TagRFP)(カタログ番号:acr)をご参照ください。