アイソタイプコントロール抗体

抗体は、特異的な抗原タンパク質に結合しますが、非特異的に別のタンパク質や細胞成分に結合する場合があります。 コントロール実験は、使用する抗体が「オフターゲット」な結合能を示すかどうかを判定する際に重要です。

抗体のオフターゲット効果すなわち非特異的結合は、抗原特異的染色とバックグラウンド染色の判別を困難にするため、「偽陽性」を生じさせる原因となります。 したがって、データの信頼性を確保するためには、常にコントロール実験を実施することがきわめて重要となります。

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アイソタイプコントロール抗体とは?

アイソタイプコントロールは、抗体染色実験のネガティブコントロールとして使用される抗体です。

アイソタイプコントロールは、実験に使用する一次抗体と同じ免疫グロブリン(Ig)クラスおよびサブクラスを持つ一方、目的タンパク質に対する特異性を欠いています。

isotype control conjugated primary antibody

アイソタイプコントロール抗体を使用する理由とは?

抗体試薬(またはその標識物質)は、他のタンパク質、内在性酵素、脂質、およびFc受容体に非特異的に結合する可能性があります。アイソタイプコントロール抗体を使用することによって、抗体実験時における特異的染色とバックグラウンド染色を区別することができます。 また、実験プロトコールにおけるブロッキングや洗浄ステップが十分であるかどうかの判定にも有用です。

最適なアイソタイプコントロール抗体の選択方法

アイソタイプコントロール抗体は、実験に使用する一次抗体に対して、特定の性質が一致していなければなりません。

  • 同一の免疫動物(宿主動物)

  • 同一の免疫グロブリン(Ig)クラス

  • 同一のIgサブクラス(特定の動物種の場合)

  • 同一の標識物質(ビオチン、HRP、蛍光色素等)

例えば、FITC標識のマウスIgG2bを一次抗体として使用する場合、同様にFITCを標識したマウスIgG2bアイソタイプコントロール抗体を選択します。

未標識の一次抗体を二次抗体で検出する場合は、未標識のアイソタイプコントロール抗体を選択します。 さらに、二次抗体のみのコントロール(一次抗体をPBS等のブランクにして二次抗体のみで染色する)を追加することで、二次抗体のバックグラウンド染色を決定します。

isotype control unconjugated primary antibody with secondary antibody

アイソタイプコントロール抗体を使用するアプリケーションとは?

アイソタイプコントロールは、フローサイトメトリー(FC)、免疫沈降(IP)、免疫組織化学(IHC)で最も一般的に使用されます。ウェスタンブロット(WB)、免疫蛍光染色(IF)、免疫細胞化学(ICC)等のその他のアプリケーションでは、ブロッキングやコーティングの目的で使用される場合もあります。

アイソタイプコントロール抗体の使用方法(プロトコール)

プロトコールは、一次抗体をアイソタイプコントロールに置き換えるだけです。それ以外のプロトコールは、一次抗体を用いて実際に検出するサンプル(実験サンプル)とアイソタイプコントロールサンプル(コントロールサンプル)で全く同一になります。完全に同一とすることで、その他の実験的不確定要素を排除します。

コントロールサンプルは、実験サンプルと全く同じ条件下で処理される必要があります。抗体濃度に関しても、一次抗体と同じ濃度でアイソタイプコントロールを調製してください。

二次抗体を用いて検出する場合は、コントロールサンプルを実験サンプルと同じ二次抗体で染色してください。

以下にアイソタイプコントロールを使用した場合のデータ例を示します。アイソタイプコントロールを使用することで、APC標識CD4抗体によって特異的に染色されたCD4+(陽性)細胞集団を容易にゲートすることができます。

Flow cytometry validation image. 1X10^6 human peripheral blood lymphocytes were surface stained with 0.06 ug APC Mouse IgG2b Isotype Control (APC-65128, clone: MPC-11) (red) or 0.06 ug APC Anti-Human CD4 (APC-65134, clone: OKT4) (orange), or not stained (blank) (blue). Cells were not fixed. 1X10^6ヒト末梢血リンパ球(未固定)を用いて、0.06 µgのAPC標識抗ヒトCD4抗体(カタログ番号:APC-65134、クローン番号:OKT4)(橙)、0.06 µgのAPC標識マウスIgG2bアイソタイプコントロール(カタログ番号:APC-65128、クローン番号:MPC-11)(赤)、試薬のブランクコントロール(青)で細胞表面を染色した。
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