免疫染色実験における「ワンステップ染色」とは?
Nano-Secondary®(ナノセカンダリー)を使用した「ワンステップ染色」の実施によって、インキュベーション時間、実験時間、洗浄ステップの回数を削減できます。
目次
免疫染色実験における「ワンステップ染色」とは?
ワンステップ染色にNano-Secondary®(ナノセカンダリー)が有用な理由
ワンステップ染色にNano-Secondary®(ナノセカンダリー)の高い親和性と特異性が求められる理由
ワンステップ染色のプロトコール
従来型二次抗体(IgG)でワンステップ染色は実施可能か?
マルチプレックス染色(多重染色)でもワンステップ染色は実施可能か?
Nano-Secondary®(ナノセカンダリー)は連続染色法でも使用可能か?
Nano-Secondary®(ナノセカンダリー)とは?
免疫染色実験における「ワンステップ染色」とは?
免疫染色実験における「ワンステップ染色(One-step immunostaining)」とは、一次抗体と同時にNano-Secondary®(ナノセカンダリー)のような一価の二次抗体(抗体フラグメントやVHH抗体等、抗原結合部位を1つのみ持つ抗体分子)をインキュベーションすることで実施される免疫染色手法です。ワンステップ染色法は、インキュベーション時間を短縮し、数回にわたる洗浄操作の手間を省くことができます。ワンステップ染色は、単一のターゲットを検出する場合や、マルチプレックス染色(多重染色)によって複数のターゲットを検出する場合の両方において使用することができます。
ワンステップ染色で求められる二次抗体の条件
- クラスター化した複合体を形成しない、一価の二次抗体(抗原結合部位を1つのみ持つ抗体分子)を使用する必要があります。
- ターゲットとなるIgG抗体に対して高い特異性と親和性を示す必要があります。
- 迅速な組織への浸透性と一次抗体のエピトープへのアクセス性を向上させるために、一次抗体‐二次抗体複合体のサイズが小さくなるように、分子量の小さな二次抗体を使用する必要があります。
クロモテック(2020年よりプロテインテックグループ)のNano-Secondary®(ナノセカンダリー)は、これらの条件を満たすことから、ワンステップ染色用の最適なプローブとなります。一次抗体とNano-Secondary®の同時インキュベーションは、免疫蛍光染色(IF:Immunofluorescence)、ウェスタンブロット(WB:Western blot)、生細胞イメージングにおけるマルチプレックス染色(多重染色)に対応し、フローサイトメトリー(FC:Flow cytometry)解析時の細胞の生存率を改善します。
ワンステップ染色は、プレインキュベーション(pre-incubation)、プレミキシング(pre-mixing)、一次抗体と二次抗体のパラレルインキュベーション(parallel incubation)等と呼ばれる場合もあります。当然ながらワンステップ染色による染色結果は、使用する一次抗体の性能に依存します。そのため、使用する一次抗体にはターゲットに特異的かつ強く結合する抗体が必要です。
同時免疫染色(ワンステップ染色) vs 連続免疫染色(Sequential immunostaining)Nano-Secondary®を使用したワンステップ染色と連続免疫染色の両方において、様々な一次抗体が同等かつ良好に検出され、鮮明な画像を得られます。 |
Nano-Secondary®は、ターゲット特異性が非常に優れており、抗体サブクラスに対しても高い特異性を示します。ターゲットとする動物種以外のIgGとは交差反応を示しません。
ワンステップ染色にNano-Secondary®(ナノセカンダリー)の高い親和性と特異性が求められる理由
ターゲットIgGに対するNano-Secondary®の親和性の高さは、一次抗体と適切に複合体を形成するための重要な特性です。さらに、親和性が高いことで存在量の少ないタンパク質を検出しやすくなります。Nano-Secondary®の高い特異性は、複数の一次抗体を使用してマルチプレックス染色(多重染色)を実施する場合に求められる特性です(Nano-Secondary®の特異性は製品ごとに検証試験を実施しています。詳細情報は各製品ページをご参照ください)。クロモテックのNano-Secondary®は、ターゲット特異性が非常に優れており、抗体サブクラスに対しても高い特異性を示します。ターゲットとする動物種以外のIgGとは交差反応を示しません。
従来型二次抗体(IgG)でワンステップ染色は実施可能か?
二価抗体(2つの抗原結合部位を持つ抗体分子)の従来型二次抗体は、一次抗体と巨大な複合体を形成してしまうため、事前の混合や同時にインキュベーションする操作は推奨されません。一次抗体と従来型二次抗体が形成する巨大なクラスターは、かさ高く、ターゲットタンパク質へのアクセス性や組織透過性に悪影響を及ぼします。沈降した複合体クラスターの沈着が生じる場合もあり、非特異的シグナルやアーチファクトの原因となります。
マルチプレックス染色(多重染色)でもワンステップ染色は実施可能か?
多重染色(マルチプレックス染色)法では、同一サンプル中の複数のターゲットを同時に解析することができます。ワンステップ染色は、複数の一次抗体とNano-Secondary®(各一次抗体を検出するためにそれぞれ異なる色素を標識したNano-Secondary®)をすべて同時にインキュベーションできるため、マルチプレックス染色(多重染色)に最適な手法です。特にワンステップのマルチプレックス染色(多重染色)は、インキュベーション時間や洗浄ステップの回数を削減することで、染色ステップの効率化を実現します。
マルチプレックス染色(多重染色)を実施する場合は、基本的には異なる動物種または異なるサブクラスの一次抗体を使用することを推奨します。
Nano-Secondary®(ナノセカンダリー)は連続染色法でも使用可能か?
Nano-Secondary®は、通常の連続染色法(2ステップ染色法)にも使用可能です。連続染色法の場合、最初に一次抗体をサンプルに添加し、ターゲットに結合しなかった一次抗体を洗浄後、Nano-Secondary®を添加してインキュベーションします。従来型二次抗体とNano-Secondary®を併用してマルチプレックス染色(多重染色)を実施する場合は、連続染色法を推奨します。
2種類のアルパカ由来抗マウス抗体Nano-Secondary®(抗マウスIgG1、抗マウスIgG3)と従来型二次抗体(抗ウサギIgG)を使用したHeLa細胞のマルチプレックス免疫染色
緑:抗ラミンマウスIgG3抗体+ Alexa Fluor® 488標識抗マウスIgG3 VHH抗体(アルパカ由来Nano-Secondary®)。赤:抗チューブリンマウスIgG1抗体+Alexa Fluor® 568標識抗マウスIgG1 VHH抗体(アルパカ由来Nano-Secondary®)。マゼンタ:抗Ki67ウサギ抗体+Alexa Fluor® 647標識抗ウサギIgGポリクローナル抗体(従来型二次抗体)。ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン(LMU-Munich)Core Facility Bioimaging部門にて撮影。(スケールバー:10µm)