特集 : FMRP
FMRP / FMR1: 認知機能におけるシナプス調節因子
FMRP / FMR1
FMRP / FMR1は、神経細胞、精巣、卵巣、胎盤、またはリンパ球において強く発現します。FMR1は、RNA結合タンパク質であり、mRNAとタンパク質の複合体 (メッセンジャーリボ核タンパク質複合体 : messenger ribonucleoprotein : mRNP) を形成して、ポリリボソームと結合することによって翻訳を抑制すると考えられています。
FMRP / FMR1はまた、mRNAに結合する CYFIP1-EIF4E-FMR1 複合体の構成要素としても知られます。複合体は、核から細胞質へのmRNAの輸送に関与します。ポリ (G) に強く結合し、ポリ (U) には殆ど結合せず、ポリ (A) および (C) にはごくわずかに結合します。
抗体 | 抗体タイプ | カタログ番号 | アプリケーション |
FMRP / FMR1 Antibody
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ウサギポリクローナル
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ELISA, WB, IP, IHC, IF, FC
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Jurkat細胞をFMR1を標的とするsiRNAまたはsiRNAコントロールで処理し、FMR1抗体 (カタログ番号:13755-1-AP、希釈倍率 1:1500)でウェスタンブロットを行った。FMR1 遺伝子は、分子量 59-72 kDa の複数のアイソフォームを発現します。 |
FMR1 抗体 (カタログ番号: 13755-1-AP、希釈倍率 1:100) を用いた、ヒト神経膠腫 (グリオーマ) (パラフィン包埋切片) の免疫組織化学染色 (40X)。 |
FMR1 抗体を用いた、HepG2細胞における免疫蛍光染色(IF)結果 (カタログ番号 :13755-1-AP)。 |
FMRPは、神経発生およびシナプス可塑性 (synaptic plasticity) において中心的役割を果たし、学習および記憶にとって重要な因子と考えられています。
- FMRPは皮質回路の発達に関与
- FMRPはクロマチン依存的なDNA損傷応答に関与
- FMRPの異常は不完全な染色体対形成等の減数分裂異常をもたらす
FMRP / FMR1 関連疾患
脆弱X症候群 (FXS : Fragile X syndrome) は、FMR1遺伝子中の「CGG」3塩基の繰り返し配列が延長することによって引き起こされます。繰り返し配列は世代を経るごとに延長されるため、個人だけでなくその家族、子孫にも大きな影響を与える多世代の障害です。また、ダウン症候群の後で2番目に多い知的障害です。
脆弱X症候群は、FMR1 の前変異 (premutation) を有する男性 (および一部の女性) が発症する遅発性の疾患で、バランス、震え、および記憶障害をもたらします。FMR1 関連原発性卵巣不全 (40歳未満の年齢での月経停止、POI (primary ovarian insufficiency)) は、卵巣機能の低下を特徴とし、これは、FMR1 前変異を有する女性の約20%において、不妊症および早期閉経に至る場合があります。
参考文献 : FMRP / FMR1 関連疾患
3. New Genetic Clues Found in Fragile X Syndrome, Neuroscience News