特集:APOL1 ELISA キット
HIV関連腎症、慢性腎臓病(CKD)や前頭側頭型認知症(FTD)の研究における有用なツールとして、Nature Medicine誌をはじめ複数の科学論文で使用されているELISAキットを紹介します。
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ブログ:ELISA実験を最適化する方法 |
背景
APOL1(apolipoprotein L1、アポリポタンパク質L1)は、コレステロールエステル(Cholesteryl ester、コレステリルエステル)の生成、コレステロール(Cholesterol)の引き抜き/流出、および脂質輸送に関与します。最近の研究では、APOL1機能の変化は肥満、慢性腎臓病(CKD:Chronic kidney disease)、統合失調症、がん等の病因となり得ることが示唆されています(1、2)。
プロテインテックは検出下限0.07 ng/mL、検出範囲0.156~10 ng/mLと、高感度かつ検出範囲の広範なヒトAPOL1特異的ELISAキット「Human APOL1 ELISA Kit(カタログ番号:KE00047)」を販売しています。本製品はヒト血清・血漿・尿中のAPOL1タンパク質の定量に使用できるキットです。HIV関連腎症(HIVAN:HIV-associated nephropathy)、慢性腎臓病(CKD)、前頭側頭型認知症(FTD)の研究における有用なツールとして、Nature Medicine誌をはじめトップクラスの科学論文に引用されています(3-5)。
本製品を用いてAPOL1のELISA測定試験を実施しているLanらの論文では、HIV感染によってヒト血管平滑筋細胞におけるAPOL1の発現が増強することを報告しています(3)。
APOL1は、主に脳の前頭葉および側頭葉に影響が生じる前頭側頭型認知症(FTD)の病態にも関与することが示唆されています。Teunissenらの論文では、プロテオミクス解析を実施してFTD患者の脳脊髄液(CSF)中の様々なタンパク質の発現レベルをスクリーニング後、APOL1を含む数種類の個別のマーカーをELISAアッセイによって定量的に測定しています。本研究による発見の1つは、タウタンパク質異常型のFTD患者では、主観的記憶障害(SMC:Subjective Memory Complaints)を持つ個人に対して、他のマーカーと比べてAPOL1の発現変化率が最も大きく変化しているということでした(4)。
2017年のNature Medicine誌の論文では、APOL1遺伝子多型に関連する腎臓障害の病因とsuPARタンパク質(soluble urokinase plasminogen activator receptor、可溶性ウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベータ受容体)の関連性を報告しています。調査対象のコホートにおけるsuPAR、APOL1、eGFRの関連性を調べたところ、suPARレベルが高いほど腎臓機能は低下していました。In vitroおよびin vivoの実験は、suPARとAPOL1との間の臨床的および分子的相互作用を説明し、suPARとAPOL1の両方が腎臓疾患の新規かつ強力な予測因子であることを示唆しました。また、表面プラズモン共鳴により、suPAR、APOL1、αvβ3-インテグリン間で高親和性の相互作用が示されました。腎障害に対するAPOL1の作用は、suPAR媒介性のαvβ3-インテグリン活性化に基づくことが示唆され、suPARはCKD治療にあたって安全な治療標的となる可能性があります。本研究では、血液サンプル中のAPOL1レベルをプロテインテックのHuman APOL1 ELISA Kitを使用して測定しています(5)。
プロテインテックのAPOL1 ELISAキットは、ヒトAPOL1を特異的に検出します。APOL1アナログに対する交差反応を示しません。
カタログ番号 | 測定可能なサンプル: | |
KE00047 | 血清、血漿、尿 | |
アッセイ方法 | 感度 | 精度 |
サンドイッチ ELISA | 0.07 ng/mL | Intra-assay CV – 2.1%-3.8% |
測定可能動物種 | 測定範囲 | Inter-assay CV – 3.2%-4.2% |
ヒト | 0.156-10 ng/mL | 用途 |
フォーマット | アッセイ時間 | 研究用(RUO) |
1 X 96 well plate | 3.5h |
回収率
サンプル | 平均回収率 | 範囲 |
血漿 | 93% | 85% - 107% |
尿 | 105% | 83% - 127% |
標準曲線(standard curve、検量線)
プロテインテックの関連製品:ELISAキット |
参考文献