質量分析(MS)

質量分析(MS:mass spectrometry)は、タンパク質を同定するための一般的な方法です。特に、細胞タンパク質のある瞬間における相互作用物質の特定を目的とする、「タンパク質‐タンパク質相互作用」アッセイや「インタラクトーム(interactome、生体内のすべての分子相互作用の総体・総称)」研究のための有用な手法です。

クロモテック(2020年10月よりプロテインテックグループの一部)の免疫沈降用抗体製品である『Nano-Trap(ナノトラップ)』は、高い親和性を発揮することによって、タンパク質のコンタミネーションが少なくバックグラウンドを低く抑えることができるため、Co-IP(共免疫沈降)に伴うMS解析に非常に有効な製品です。Nano-Trapは、安定性が非常に優れているため、厳しい洗浄条件を適用することができます。例えば、他の抗体結合ビーズやストレプトアビジン系アフィニティ試薬が不活性化してしまう濃度のカオトロピック剤を含むバッファー等、ほとんどの条件を適用可能です。そのため、バックグラウンドノイズをより軽減させることができ、サンプル解析時の感度が向上します。特に翻訳後修飾(PTM:post-translational modification)の解析等では、このような高感度な解析を実現するための試薬が必要とされる場合があり、Nano-Trap製品は最良な選択肢の1つになり得ます。

さらにNano-Trapは、「オンビーズ(on-bead)」法でのMS用サンプルの調製にも推奨され、サンプルがアフィニティ試薬から完全に溶出できずに生じてしまうロスを防ぐための手法を適用できます。

免疫沈降‐質量分析(IP-MS:immunoprecipitation mass spectrometry)は、アフィニティ精製質量分析(AP-MS:affinity purification mass spectrometry)あるいはアフィニティキャプチャー質量分析(AC-MS:affinity capture MS)とも呼ばれます。

Section of mass spectrum graph

マススペクトルデータの抜粋図