特集 : 代謝研究用抗体
グルコース、エネルギー、ミトコンドリア機能障害、および疾患の関係
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AMPK:代謝のマスタースイッチ
真核生物の細胞および生物代謝の中心的な調節因子の1つは、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK:AMP-activated protein kinase)です。細胞レベルと生理的レベルの両方で代謝ストレス時にエネルギー均衡を回復させる、高度に保存された代謝マスターレギュレーターです。AMPKは、AMP/ATP比だけでなくADP/ATP比も監視します(図1)。AMPKは、AMP/ATP比が増加すると3つのメカニズムによってスイッチがオンになります。それらのメカニズム全てに対して、AMP/ATP比の減少は拮抗的に働きます。
図1. AMPKガンマ2抗体(カタログ番号:12568-1-AP、希釈倍率:1:50)とAlexa Fluor 488コンジュゲートAffiniPureヤギ抗ウサギIgG(H+L)を使用したHeLa細胞の免疫蛍光染色。
最近AMPKは、オートファジーや細胞極性等の細胞プロセスと関連付けられています。いくつかの種において、mTORまたはサーチュイン(sirtuins)と相互作用することによって、重要な調節因子として加齢にも関与するとされています(図2)。キナーゼは、低グルコース、低酸素、虚血、熱ショックなど、細胞ATP供給を枯渇させるストレスに応答して活性化されます。
図2. SITR2-WTおよびSIRT2-KOサンプルの皮質スライドを使用したSIRT2抗体(カタログ番号:19655-1-AP)によるIFの結果。
Liuらは、硫化水素(H2S)が抗酸化効果を持ち、Nrf2-ROS-AMPKシグナル伝達経路を介して酸化ストレスにより誘発される過剰なオートファジーを抑制することによって動脈内皮細胞を保護するメカニズムを説明しました。研究者は、プロテインテックのAMPK Alpha 1 抗体(カタログ番号:10929-2-AP)を使用したWB分析によって結果を確認しました。
IFT88:代謝・エネルギー恒常性の調節因子
IFT88は多くの機能を持ちますが、多くの生物の繊毛と鞭毛の構築と維持に不可欠な、鞭毛内輸送に関与します。また、ATG16Lのトラフィッキング(図3)とオートファジーコンパートメントの拡張に必要なので、オートファジーにも関与します。プロテインテックのポリクローナルIFT88抗体(図4)は、これまでに100報を超える論文に登場しています。そのような論文の一つは、Kif3タンパク質とその哺乳類ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達における役割に関連しています。この論文で研究者は、IF染色でアセチル化チューブリンとともに繊毛退縮のマーカーとして抗IFT88抗体を使用しました。
図3. MCF7細胞をSDS PAGEに付した後、ATG16L1抗体(カタログ番号:19812-1-AP、希釈倍率:1:500)と室温で1.5時間インキュベートしてウエスタンブロットを行った。 |
ウェスタンブロット関連製品
ローディングコントロール抗体
GAPDH 抗体 | |
カタログ番号: 60004-1-Ig | |
GAPDH酵素は、広い細胞種で高く発現するため、ウエスタンブロット実験におけるタンパク質ローディングコントロールとして頻繁に使用されます。GAPDHは、解糖、DNA修復、アポトーシス等、いくつかの細胞機能にも関わることが知られています。 プロテインテックのモノクローナルGAPDH抗体は、ヒト全長タンパク質に対して作製されており、これまでに2,670報以上の文献で使用されています。 |
Beta Actin 抗体 (KD/KO 検証済) | |
カタログ番号: 66009-1-Ig | |
ベータアクチンは、全ての真核細胞タイプにわたって広範で一貫した発現を示し、また、このタンパク質の発現レベルはほとんどの実験的処理に影響を受けないことから、通常、ローディングコントロールとして用いられる。 66009-1-Igは、これまでに1,135 報以上で使用されており、様々な動物種で使用できます。 |
プロテインテックのコントロール抗体は、お求めやすい価格 ¥36,000/150ul で提供しています。
図4. IFT88ウサギポリクローナル抗体(カタログ番号:13967-1-AP、希釈倍率:1:50)とアセチル化チューブリンマウスモノクローナル抗体(カタログ番号:66200-1-Ig)を使用して染色し、さらに13967-1-AP にはAlexa Fluor 594コンジュゲートAffiniPureヤギ抗ウサギIgG(H+L)を、66200-1-IgにはAlexa Fluor 488コンジュゲートAffiniPureヤギ抗マウスIgG(H+L)を使用して染色したMDCK細胞の免疫蛍光染色。
GSK-3の非常に重要な役割
GSK3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3、Glycogen Synthase Kinase-3)は、WNT、増殖因子、インスリン、ヘッジホッグ経路など、様々なシグナル伝達経路に関与するシグナル伝達メディエーターです。最近の研究で、GSK3の調節不全は、II型糖尿病、炎症、癌、双極性障害等の多くの疾患に関連することが示されています。
Chenらは、プロテインテックの抗体を使用してWBとIHCの実験を実施して(図5)、子宮内膜癌におけるGSKの役割を検討しました。結論として彼らは、GSK-3βがそのタイプの癌の治療において新規かつ重要な治療標的となる可能性を示唆しました。また、GSKを阻害すると、その酸化的代謝を促進し、ニューロン保護効果を示して、虚血性ニューロン死を防ぐことも示唆されています。
図5. GSK3B抗体(カタログ番号:22104-1-AP、希釈倍率:1:200)を使用したパラフィン包埋ヒト肺癌組織スライドの免疫組織化学染色(40倍レンズ)。Tris-EDTAバッファー(pH9)で加熱抗原賦活化を行った。
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