血液脳関門(BBB:Blood-Brain Barrier)研究

血液脳関門(BBB:Blood-brain barrier)は、中枢神経系(CNS:Central nervous system)保護のための主要な防御機構であり、イオン恒常性および脳への栄養供給の維持に働きます。血液脳関門は、脳を保護する役割を担うと同時に、薬物送達やその他の治療を妨げる大きな障壁にもなり得ます。血液脳関門の機能不全・機能破綻は、多発性硬化症(MS:Multiple sclerosis)、てんかん、脳卒中等の疾患の病態に深く関与すると考えられています。血液脳関門の実体は、血液脳関門固有の特徴を有する内皮細胞で構成される脳毛細血管です。脳毛細血管の内皮細胞は、タイトジャンクションの発現、小孔(窓:Fenestration)を持たない構造(無窓)、特殊な能動輸送機構等の固有の特徴を示します。

NVUの構造および関連分子の解説画像

図1. 神経血管ユニット(NVU:Neurovascular unit)と関連分子の解説画像(Kadry et al., 2020、PMID:33208141の図をもとに編集)

 

微小血管の周辺に存在する周皮細胞(ペリサイト:Pericyte)は、内皮細胞と基底膜を共有しています。さらに血管構造とグリア細胞間の直接的なインターフェースとしてアストロサイト(Astrocyte)が足突起/終足(Endfeet)と呼ばれる突起を形成し血管を被覆しています。

表1. プロテインテックの血液脳関門関連製品

タイトジャンクション
(Tight Junction)
トランスポーター
(Transporter)
接着結合
(Adherens Junction)
オクルディン組換え抗体およびα-チューブリン抗体を使用した4% PFA固定MCF-7細胞の免疫蛍光染色。

図2. オクルディン組換え抗体(カタログ番号:80545-1-RR、希釈倍率1:500、緑)およびα-チューブリン抗体(カタログ番号:66031-1-Ig、赤)を使用した4% PFA固定MCF-7細胞の免疫蛍光染色。

N-カドヘリン抗体を使用したマウス脳組織スライドの免疫蛍光染色。

図3. N-カドヘリン抗体(カタログ番号:66219-1-Ig、希釈倍率1:10000)を使用したパラフィン包埋マウス脳組織スライドの免疫組織化学染色。

アクアポリン4抗体を使用した4% PFA固定ラット脳組織の免疫蛍光染色

図4. アクアポリン4抗体(カタログ番号:16473-1-AP、希釈倍率1:200、緑)を使用した4% PFA固定ラット脳組織の免疫蛍光染色。