特集 : 心血管研究
プロテインテックは、心血管研究用の幅広いマーカーおよび関連抗体を提供しています。
はじめに
心血管系は、心臓と血管の総称です。冠動脈性心疾患、脳血管性疾患、末梢動脈疾患、リウマチ性心疾患、先天性心疾患、または深部静脈血栓症および肺塞栓症は、心血管疾患(CVD:cardiovascular disease)のわずかな例にすぎません。CVDは、世界全体で増加傾向にある死亡原因であり、科学者はCVDに関連する細胞および分子基盤のメカニズムを特定して理解することを優先事項としています。2012年に、WHOは、人口の30%超がCVDにより死亡することを強調しました(大半は冠動脈性心疾患および脳卒中による)。
加齢に伴う心血管組織の変化
加齢に伴う心血管系の変化は、分子経路の脱制御と病理学的変化(例えば、肥大、左心室(LV)拡張機能の変化、動脈壁硬化の異常、または内皮機能障害)につながります。これは、アテローム性動脈硬化症、高血圧、または脳卒中などのCVDの有意な増加に反映されます。哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR:mammalian target of rapamycin)の阻害は、加齢の過程で心臓にストレスがかかっているときに心臓保護効果があるというエビデンスを示しています。
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注目の抗体
心臓生理と心臓疾患におけるmTOR
mTOR抗体 |
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カタログ番号: 20657-1-AP | 抗体タイプ: ウサギポリクローナル |
使用文献数: 188 | アプリケーション: ELISA, WB, IHC, IF |
mTOR (哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)は、非定型のセリン/スレオニンキナーゼです。その主要な細胞機能は、特定のタンパク質アダプターと相互作用して、2つの異なる複合体、mTORC1およびmTORC2を形成することです。
mTOR経路は、心血管調節システムの主要な役割を担います。それは、出生後、成人期、そして心臓肥大の発症において心臓の構造と機能を維持するために、極めて重要であると考えられます。mTORは心臓代謝の調節にも深く関与しています。
さらに、Wntおよび成長因子シグナル伝達と連携するmTOR経路は、内皮および心筋細胞の増殖に不可欠です。別の面から言えば、mTORの慢性的活性化は、心臓の老化プロセスを強化すると考えられます。
mTOR抗体(カタログ番号:20657-1-AP、希釈倍率:1:50)とAlexa Fluor 488-結合 AffiniPure ヤギ抗ウサギIgG (H+L)を用いてmTOR を標識した、HeLa 細胞の免疫蛍光染色。 |
mTOR抗体(カタログ番号:20657-1-AP、希釈倍率:1:200)を使用した、Tris-EDTAバッファー(pH9)で加熱抗原賦活したパラフィン包埋ヒト精巣組織スライドの免疫組織化学染色(10倍レンズ下)。 |
高感度心筋トロポニンT
Cardiac Troponin T抗体 |
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カタログ番号: 15513-1-AP | 抗体タイプ: ウサギポリクローナル |
使用文献数: 37 | アプリケーション:ELISA, WB, IHC, IF, FC |
トロポニン複合体は、横紋筋の収縮を調節し、3つのサブユニット(トロポニンC、トロポニンT、およびトロポニンI)で構成されています。心筋トロポニンT(cTnT)は37 kDaのタンパク質であり、トロポミオシンに結合することによってトロポニン複合体を細いフィラメントに付着させます。cTnTは、アクチンとミオシンの間のカルシウムを介した相互作用を制御する心臓調節タンパク質です。
cTnTの欠損は、家族性肥大型心筋症2型(CMH2)、拡張型心筋症1D(CMD1D)、および家族性拘束型心筋症3型(RCM3)の原因です。心臓に欠損のある新生児と健常児のcTnTレベルにも、統計的有意差が示されています。
心筋トロポニンT抗体(カタログ番号:15513-1-AP、希釈倍率:1:50、40x)とAlexa Fluor 488-結合 AffiniPureヤギ抗ウサギIgG (H+L)を用いた(4% PFA)固定マウス心臓組織の免疫蛍光染色解析。 |
心筋トロポニンT抗体(カタログ番号:15513-1-AP、希釈倍率:1:200)を使用した、Tris-EDTAバッファー(pH9)で加熱抗原賦活したパラフィン包埋マウス心臓組織スライドの免疫組織化学染色(40倍レンズ下)。 |
CD31 (PECAM-1):血管生物学における多機能分子
CD31抗体 |
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カタログ番号: 11265-1-AP | 抗体タイプ: ウサギポリクローナル |
使用文献数: 252 | アプリケーション: ELISA, WB, IP, IHC, IF, FC, Cell treatment |
CD31(PECAM-1-血小板内皮細胞接着分子-1)は、Ig遺伝子スーパーファミリーに属する分子量130kDaの分子で、6つの細胞外Igフォールドで構成されています。この分子は、N結合型およびO結合型のグリコシル化部位が関与して、可変的にグリコシル化されています。
CD31は、内皮の表面上で、血管コンパートメント内の全ての細胞上に発現しています。CD31は細胞間接着に関与する効率的なシグナル伝達分子です。このことは、CD31には血管生物学的に多様な役割があることを反映しています。そうした役割には、血管新生、血小板機能、血栓症、流体せん断応力に対する内皮細胞応答の機械受容性、および静脈壁を介した白血球遊走の複数段階での調節などがあります。
CD31抗体(カタログ番号:11265-1-AP、希釈倍率:1:50)を使用したパラフィン包埋子宮内膜癌サンプルの免疫組織化学染色(40倍レンズ下)。 |
CD31抗体(カタログ番号:11265-1-AP、希釈倍率:1:50)を使用したパラフィン包埋肝硬変症サンプルの免疫組織化学染色(40倍レンズ下)。 |
ミオシン軽鎖2-心房(MYL7/MLC2a)および心室(MYL2/MLC-2v)の心筋細胞
Myosin Light Chain 2/MLC-2V抗体 |
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カタログ番号: 10906-1-AP | 抗体タイプ: ウサギポリクローナル |
使用文献数: 187 | アプリケーション: ELISA, FC, IF, IHC, IP, WB |
MYL2/MLC-2vおよびMYL7/MLC2aは、一般にはミオシン軽鎖2の2つの主要なアイソフォームとして知られており、心臓の発達に不可欠です。
MYL2/MLC-2vおよびMYL7/MLC2aは、決まった様式で心臓に発現します。心室ミオシン軽鎖-2アイソフォーム(MYL2/MLC-2v)は、心臓の心室セグメントに限定されており、発生中から成人まで全てのヒト心臓の心室に関連しています。対照的に、心房ミオシン軽鎖-2(MYL7/MLC-2a)は、MYL2/MLC-2vより前に予定心室領域で発現します。その心室の発現はその後ダウンレギュレートされ、代わりに、出生後の心房で大量に発現します。
MYL2/MLC-2vおよびMYL7/MLC2aの発現パターンは、成熟した心室筋細胞および心房筋細胞の特異的マーカーと見なされ、人工多能性幹細胞由来の心筋細胞のin vitroにおける生育に一般的に使用されます。
MYL2抗体(カタログ番号:10906-1-AP、希釈倍率:1:200、40x)を使用したパラフィン包埋ヒト心臓組織の免疫組織化学染色。 |
MYL2抗体(カタログ番号:10906-1-AP、希釈倍率:1:500、40x)とAlexa Fluor 488結合AffiniPure ヤギ抗ウサギIgG(H+L)を使用した(4%PFA)固定マウス心臓組織の免疫蛍光染色解析。 |
MYL7
MYL7抗体 |
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カタログ番号: 17283-1-AP | 抗体タイプ: ウサギポリクローナル |
使用文献数: 16 | アプリケーション: ELISA, WB, IP, IHC, IF, FC |
MYL7抗体(カタログ番号:17283-1-AP、希釈倍率:1:100、40x)を使用したパラフィン包埋ヒト心臓組織の免疫組織化学染色 |
MYL7抗体(カタログ番号:17283-1-AP、希釈倍率:1:50、40x)とAlexa Fluor 488結合AffiniPureヤギ抗ウサギIgG(H +L)を使用した(4%PFA)固定マウス心臓組織の免疫蛍光染色解析。 |
関連抗体
抗体名 | カタログ番号 | 抗体タイプ | アプリケーション | 使用文献数 |
ACTA2/smooth muscle actin | 14395-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, FC, competitive binding assay | 57 |
AKT1 | 10176-2-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, FC, CoIP | 56 |
ALDH2 | 15310-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, CoIP | 7 |
APEX1 | 10203-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, CoIP | 5 |
Catalase | 21260-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IHC, IF, FC | 10 |
CD31 | 11265-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, FC, Cell treatment | 14 |
HEXIM1 | 15676-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, FC, CoIP | 7 |
Hexokinase 2 | 22029-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, CoIP | 7 |
HEY2 | 10597-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, CoIP, ChIP | 15 |
Icam1 | 10020-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IHC, IF, FC | 15 |
ICAM-1 | 10831-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, FC, CoIP, Blocking | 13 |
MEF2C | 10056-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, FC, ChIP | 15 |
Mitofilin | 10179-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, FC, CoIP | 14 |
MTOR | 28273-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF | 13 |
Myosin Light Chain Antibody 2 | 10906-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, FC | 44 |
NRF2, NFE2L2 | 16396-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, FC, CoIP, ChIP | 22 |
PROX1 | 51043-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IHC, IF, CoIP, ChIP | 8 |
Sirt 1 | 13161-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, CoIP | 25 |
SNAI1 | 13099-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IF, CoIP, ChIP | 17 |
STAT3 | 10253-2-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF, FC, CoIP, ChIP | 13 |
SUCLA2 | 12627-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF | 8 |
TFAM | 19998-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IP, IHC, IF | 8 |
transgelin/ SM22 | 10493-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IHC, IF, FC | 22 |
TWIST1 | 18125-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IHC, IF | 9 |
VCAM1 | 11444-1-AP | ウサギポリクローナル | ELISA, WB, IHC, IF, FC | 10 |
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